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こんにちわ若輩者です。
サイエンスZEROを見ていたら変な説明をされたんです。
渦状銀河のスパイラルアームって巻き込みのジレンマがあると言うのですが、なるほど星々が銀河を周回するスピードと銀河の年齢を考えたらスパイラルアームは既に巻き込まれて消えているはずだと、納得です。が、ではどうして渦状銀河は永くスパイラルアームを保ち続けられるのか?その説明が渋滞仮説だって言うんです。
渦状銀河には密度の濃い領域と薄い領域があって、その形成理由にウィキでは星々は相関を持った楕円軌道による密度派が作られると書かれています。
ZEROでは、その密度の濃い領域に差し掛かった天体の速度が落ちて渋滞し、薄い領域に差し掛かると速度が戻りスムーズに進行する。だからスパイラルアームが保たれるなんて言うんですよ。
これってどうなんですか?密度が濃いとは星間物質が多い空間だと思えるんですが、慣性で銀河内を相対運動している天体の速度がどうして星間物質の多さで変わるのでしょう?結局レベルが低いだけだと言われる気がしますが変な現象だと思います。高校頭脳には無理なんでしょうか。削除された記事が1件あります.見る

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1964年、C. C. リンとフランク・シューがこの問題を解決する理論を初めて提案した。彼らは渦状腕はディスクに生じた螺旋状の密度波が目に見えているものだと指摘した。彼らはディスク内の星の軌道がわずかに楕円軌道を描いており、その楕円軌道の向きが星同士互いに相関を持っていて、銀河中心からの距離に応じて滑らかに少しずつ変化していると仮定した。星の軌道がこのような条件に従っていると、ディスク内に星の密度の高い部分が螺旋状にできることを彼らは示した。 従って、ディスク内の星は現在我々が観測した位置にいつまでもとどまっているわけではなく、軌道運動によって腕の部分を定期的に通り抜けていることになる。
これはよく、所々に渋滞が発生している高速道路に喩えられる。渋滞が発生している箇所が銀河の渦状腕に相当する。渋滞の中にいる自動車はそこにとどまっているのではなく低速ながらも走っており、いずれ渋滞部分を抜け出す。これと同様に、渦状腕を構成している星は常に同じではなく常に入れ替わっているが、腕自体は星の密度が高い部分として同じ位置に存在し続けているのである。― ウィキより

  >慣性で銀河内を相対運動している天体の速度がどうして星間物質の多さで変わるのでしょう?
その疑問に関することが天文学の謎だったのよ。今でも完全に解決している訳ではないけど。
いろいろな銀河に観測される見かけ上の渦の回転は、銀河ディスクという比喩的な用語がついているように、レコード盤(若い人は知らないかもしれない)の回転のように円盤上に星々を張り付けて回転させているような、円盤の外側と内側の角速度が似通っている運動のように観測される。(真円ではなく楕円回転が普通なのでもっと複雑だが、簡単に円運動で考えてほしい)

  (続き)
実際は星同士は何かに張り付いている訳じゃないから回転の内側ほど速度がより大きくなると思われる。これを微分回転(差分回転)という。
ところがこれを計算すると見かけ上の現在の渦と合わない。回転渦の腕が何回転もしているはずの銀河なら腕の中心部分が何重にも巻き込まれているはずなのにそうはなっていない。これを「巻き込み困難のジレンマ」と呼ぶ。

そこを説明出来る一つの仮説が、先の方が引用されたC. C. リンとフランク・シューのモデル。
星々の回転に疎と密があって、密の部分が明るいから回転渦の腕として観測されやすい。その疎と密の波の回転がディスク回転のように見えているという発想。

  (続き)
「星間密度高いから回転速度が遅くなる」と「回転速度が遅くなるから星間密度が高くなる」は同じ現象を表現する別表現ね。後者の方が分かりやすいかも。これはまだ明らかになっていない仮説を含んでいるからどちらの表現も混在している。
最初は多くの研究者が星同士の引力を中心に回転過密波を説明しようとしたのだけれど、それでもやはり計算が合わなかった。そこで今注目されているのがガスなどの見えない星間物質の分布。
ガスの疎密が星間運動にも影響を与えて渦を作っているのではないかという推測。
そして今観測されている渦の腕の状況から、(ガスは見えないから)ガスの分布を推測して理論を組み立てている。

サイエンス0ではそれが地球の気候変動にも影響しているのかもを言う説を紹介したのね。

  (続き)
ガスも目に見えないんだけれどある程度濃いか、層が厚いと電波観測で「そこは殆ど何もない空間じゃない」と分かる時がある。すると「あるとすればなんだろう」という発想からガス雲があるだろうという発想が始まる。とてつもなく濃いならガスがあることはほぼ確実なんだけれど。
そしてガスは星よりも軽い。遥かに軽い。だから星と同じく回転運動しようとしても速度が小さい。
またガス自体が軽いために、星が集まっているところに集められやすい。これが大雑把だがガスなどの軽い物質が疎密な分布を作るだろうという説明。

そして、比較的濃いガスの中を星が通過する際に星による波が発生する。この波のエネルギーが高いとき層流や乱流、或は衝撃波を発生させ、超巨大なガス雲の中に不連続な複雑な流れを作り出す。
これが星間運動にさえも影響を与えると考えられている。

  (続き)
また、ガスの密度の高い部分ではその複雑な流れと星の引力などによって新たな星(恒星)の発生が他の場所より活発になると考えられている。これも巨大な重力を生むので、星間運動に影響を与える。そして渦の腕が明るいという事の理由の一つにもなる。

これらは仮説も含まれるが高校生にも判るだろうか?
私は物理屋じゃなくて数学屋なのでもっとうまく説明してくれる人がいるかもしれない。

  >密度が濃いとは星間物質が多い空間だと思えるんですが、慣性で銀河内を相対運動している天体の速度がどうして星間物質の多さで変わるのでしょう?
厳密には一定ではないが大きくは変わらんよ?

>ZEROでは、その密度の濃い領域に差し掛かった天体の速度が落ちて渋滞し、薄い領域に差し掛かると速度が戻りスムーズに進行する。だからスパイラルアームが保たれるなんて言うんですよ。
あれはしょせんバラエティ番組なのであまり鵜呑みにしない方がいい

  大きくは変わらないが、疎密ができる程には変わるのなら意味のあること
大きい小さいは所詮主観

  >疎密ができる程には変わるのなら意味のあること
いや疎密ができる程までは変わらんよ?

  >No.92578-No.92582
丁寧な説明をしてくれてありがとうございます。難しくて解らない所もありましたが丁寧で面白かったです。
見えないガスの分布とは暗黒物質と言われる物でしょうか?自分は名前を知ってるだけで理解をしてないんですが、銀河の質量の半分以上が暗黒物質だって聞いた気がします。
それはディスクの回転の鍵を握るのに大きく関係していると言う事でしょうか?今思ったんですが、銀河の質量の大半が銀河の中心にあると考えるのが一つの間違いなんでしょうか?例えば太陽系みたいに大きい重力場を持っている太陽を中心にした回転系じゃなく、暗黒物質の重力場がもっと広く分布したのが銀河だと考えたら、ディスクの回転が理解できる気がします。
でも、アームの暗黒物質の密度が高いのが、そこを通過する質量の塊(星)の速度を遅くする理由がわかりません。流体の抵抗みたいなモノだとするなら抜けた時にどうして速度が戻るのか…。
>No.92583
やっぱりしょせんサイエンスバラエティだって割り切ってもっと勉強するしかないのでしょうか。
>No.92590
なるほど、と思いましたが、No.92593を読んで自分のレベルの低さだと分からなくなります。

  とにかくレスをくれた皆さんありがとうございます。

  まぁ、有力な仮説だというだけだからね。今のところは星などガスより遥かに重い天体の影響だけでは説明がつかないから、ガスの影響を考慮しているんだが、そのガスの分布が疎密になっているって所までは電波観測によりほぼ確実視されている。
だから東京大学などではガスディスクとも呼んでる。

後はそれが天体の過密波分布とどのような相関なあるのかが今の天文学の争点。いくつもの説がある。

  書き込みをした人によって削除されました

  >流体の抵抗みたいなモノだとするなら抜けた時にどうして速度が戻るのか…。
回転はバルジ(bulge)以内の巨大な重力の影響だから(形式的には落下)、ガス雲の天体が過密&ガスの乱流や不規則な流れの影響を受ける領域を抜けるとまた銀河中心部の重力の影響が主になり、ガス雲の抵抗をうけなくなる。
疎密が起こるのは重力ってのは非常に弱い力なんだけど、銀河が天体のスケールから見てもバカでかいから。

  >流体の抵抗みたいなモノだとするなら抜けた時にどうして速度が戻るのか…。
ようわからんが重力は保存量だから戻って当然なのでは…
速度の増減が生じるメカニズムは、質量分布が一様でなく粗密があって、
密な部分でポテンシャルが局所的に減少しているから
(密な部分に向かうときは加速し、密な部分をぬけたら減速するという挙動が重力だけでもたらされる)
で良い希ガス、
定量性は知らん

No.92574の図は意味不明に思えてきた…
大小楕円軌道の周期の違いから勝手に粗密が生じるというのは魅惑的な考えだが、3体以上の問題で、質量分布の粗密により
ポテンシャルが凸凹している中なので軌道運動は楕円にならない希ガス、

  >軌道運動は楕円にならない
そりゃ速度が変わってるから厳密な楕円にはならないよ。