原発30キロ圏の防 - 発電@ふたば保管庫

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被ばく基準:設定3県のみ 原発30キロ圏21道府県職員

 原発30キロ圏の防災重点区域に入る21道府県のうち、防災業務に当たる自治体職員の1日当たりの被ばく線量基準を定めているのは3県にとどまることが毎日新聞の調査でわかった。福島第1原発事故では自治体職員の被ばくも問題化。国は基準設定を勧めているが、具体的な数値を示しておらず、被ばく管理はなおざり状態だ。住民の安全確保にも影響しかねず、事故の教訓が生かされていない。
 基準を定めているのは福島、新潟、福井3県。うち新潟、福井両県は震災前から原子力災害時の地域防災計画で職員の1日の活動ごとの被ばく線量基準を「1日10ミリシーベルト」と規定。福島県は事故の教訓から2011年9月、国が福島の原発事故に限って定めた周辺地域への立ち入り基準をもとに「1日1ミリシーベルト」などとするガイドラインを作った。
 福島県によると、原発事故では職員が被害状況の確認や防災拠点での活動で被ばくした。担当者は「線量計を持たずに活動したケースもあった。職員の安全管理のため基準を設けた」と説明する。
http://mainichi.jp/select/news/20140101k0000e040216000c.html

   地方公務員の被ばく線量限度は、原発作業員ら放射線業務従事者と同じく、労働安全衛生法の規則が適用され▽1年間50ミリシーベルト▽5年間100ミリシーベルト▽緊急時100ミリシーベルト。だが、これらは長期間にわたる累積線量を念頭にしたもので、1日当たりの定めはない。3県以外は同法を援用した国の旧指針に基づいて「1回の災害につき50ミリシーベルト」などと規定している自治体が多い。
 しかし、法定の枠組みでは一度に50ミリシーベルト(緊急時100ミリシーベルト)の被ばくも許容されることになるため、内閣府は震災後にマニュアルを改定し「放射線防護の基準は防災業務内容を考慮し具体的に定めておくこと」と明記。1日当たりの基準も策定することが望ましいとして、原子力規制委員会が作った原子力災害対策指針を参考にするよう求めている。
 だが、同指針は目安となる被ばく限度の数値を示していない。複数の自治体は「国が提示してくれないと基準を作れない」(鹿児島県)などと困惑。短時間でどれだけの低線量被ばくが許容されるか医学的に解明されていないこともあり、各自治体が独自に基準を作るのは難しい状況だ。

   一方、消防庁は01年のマニュアルで「1回の活動で10ミリシーベルト」と規定し、全国の消防機関に提示。警察庁も震災後、福島の原発事故については「1回の活動で5ミリシーベルト」と定めた。
 自治体職員の基準作りについて、総務省は「労働安全衛生法を所管する厚生労働省の担当」。厚労省は「原子力防災については規制委の所管」と説明。規制委は「業務分野によって被ばくの度合いが異なり、一律に基準を示せない。自治体からまとまって要望があれば検討することもあり得る」と消極的だ。【関谷俊介】

 産業医科大の高橋謙教授(環境疫学)の話 福島第1原発事故では自治体職員が頻繁に放射線の汚染地域に入った。自治体によって被ばくの許容度に差があるのはおかしく、防護体制がきちんと整っていなければ住民の安全確保にもかかわる。国が1日の基準値を決め、二重に網をかけるべきだ。

  原発立地エリアは平和ボケすぎる