韓国経済@ふたば保管庫 [戻る]
統治時代の鉄道資料には乗降客数から駅弁情報まで満載 日本人の記録に思う
この2年後に世界恐慌が起こり、そのあおりを受けて、翌年の昭和5年(1930年)から6年(31年)に大不況(昭和の大恐慌)が日本を襲った。朝鮮半島への投資を訴えた井上元蔵相は、翌7年に蔵相時代の経済悪化などを理由に「血盟団事件」で暗殺された。日本の朝鮮半島統治は、すでに折り返し点を過ぎていた。 日本の朝鮮半島統治についての是非をここで語る気はない。ただ、年越しに際し眼を通した一冊の本から感じたのは、当時の日本人の調査や記録に対する姿勢や能力だ。専門に研究している方ならご存じだろうが、この一冊に限らず、日本が朝鮮半島に残した記録は莫大(ばくだい)なものだ。農水産業、土木、社会基盤(インフラ)整備、教育、その他数々。朝鮮総督府の数々の記録、資料だけでも見れば、日本が朝鮮半島で描いていたことは詳細に分かる。 |
昨年11月、韓国政府は関東大震災での韓国人犠牲者の名簿なるものを公開した。東京の在日本大使館で眠っていた資料で、日韓国交正常化交渉を前に、独自に調査したというものだ。白い手袋をはめて、この資料をうやうやしく公開する様子がテレビで中継されていた。韓国が「貴重な資料」として受け止めていることが、その画面から強く伝わってきた。 一方で、日本が朝鮮半島に残した記録や資料はどうなのか。韓国では、ソウル市内にある国立中央図書館などに行くと、その一部は閲覧できる。ただ、すべては残されていない。朝鮮戦争(1950〜53年)の際に消失、紛失したものが多いという話を聞いたことがある。とにかく、保存状況は極めて悪い。 |
統治時代の鉄道資料には乗降客数から駅弁情報まで満載 日本人の記録に思う
白い手袋で大事に扱われる資料と対照的なのだが、韓国では明らかに、日本統治時代の日本による資料は忌避されている感がある。歴史認識問題をめぐり、韓国メディアが日本を非難する際、「よからぬ」「けしからん」という表現を多用するが、日本当局のかつての記録こそが韓国にとって、まさしく「けしからんもの」なのかもしれない。 こう書けば、日本が残した資料、記録が「かわいそう」に思うかもしれない。ご存じの方もいらっしゃると思うが、筆者が年末年始に読み返した本を含め、これらの資料、記録はほとんどが、東京の国会図書館など日本で保存されている、はずだ。 是非はともかく、しかし、記録は記録である。未来永劫(えいごう)、記録として残され、日韓の歴史の研究資料ともされるだろう。ただ、日本が明治、大正、昭和(20年まで)に残した資料、記録の中には、当時の文体で書かれたものが多い。閲覧したいかどうかはともかく、明治、大正時代の文体を理解できる人が、現在の韓国にどれだけいるだろうか。 |
>日本から朝鮮半島への投資を呼びかけており、これも記録として残されている >日本が朝鮮半島に残した記録は莫大(ばくだい)なものだ なんという苛烈な植民地支配 |